〜　ロンドンの食事事情　〜

【2】






有難いことに年々お問い合わせを受けていて
女性の一人旅からのご質問も多くなってきました

その中で目立って多くいただくご質問の中に
“お薦めのお食事場所は・・・？”というもの

確かにロンドン市内の至る場所にパブはあるけれど
一般的に日本では昼間からピールを含むランチを取る習慣はなく
ましてや一人旅の異国女性だったら
そうそうパブの扉を開けるのもかなりの勇気が必要だと思います

そんなことからもロンドンでは時として（？）
まじめにご飯を食べる場所を見つけよう！と思うのですが・・・
根っからのビール党である私には
今まで中々その場になると手ごろなパブやデパ地下へ飛び込んでいました


英国のビールはジョッキではない・・・
でも、これは世界に誇れるうまい飲み方の一つだと思う


今回はそんな自分を捨てて
一丁素敵なティールームで食事でも・・・と思い
ガイドブックを開けて目指したのが
“H.R.ヒギンス”
コーヒー・紅茶専門店でかの王室御用達にも指定され、
その地下1階にティールーム有

なんとタイムリー！
場所もショッピングで何度も足を運ぶロンドンの中心街
Bond Streetから入った小道にあるらしい・・・
この地下へ行ってみましょう！とばかりに鼻息荒く向ったのでした




ところが！
さすがに敷居に高い御用達店・・と思いきや
先ずは1階のショップでこちらの紅茶をいただこうとスタッフを待っていたら、
待っても・・・・待っても・・・・
先に入っていた別のお客様への対応で一切こちらを向いてくれない・・

そこは日本とは違うのだから、と思い直しても
待てども待てども先客もスタッフとのおしゃべりで終わる様子もなく
諦めて地下のティールームで先に食事と休憩！と思い直し、
手印の示す狭い階段を降りたところ
そのティールームには一人の初老の男性客と
だれも居ないカウンターのみ・・・

声をかけ暫く待ってもこちらも誰も出てきてくれない・・・

思わず新聞を読む初老の男性と目を合わせて
再びすごすごと階上へ向いました

まだ、先ほどの女性客の相手をしているスタッフのみだったので
ここはもう私には縁がなかったんだ・・と思い、
重厚な店内を後にしました


まったくもって敗北したコーヒー・紅茶専門店のH.R.ヒギンスの表
手前の外階段からも地下のティールームへ入れるらしい・・

さて、さて空腹を抱えたままどうしたものか・・・？と賑やかな大通り
Bond Streetへ引き返そうとしたところ
並びにとても雰囲気の良さそうなカフェを発見

それが今回ご紹介したい！と思った花丸のカフェ

正しく捨てる神あれば拾う神あり！の心境だったこのカフェは
最初に通りかかった時三つ揃えのピシっとした
ビジネスマンが入って行ったので
表向きは可愛らしいカフェのようなのに・・・？
でもその後でご年配の夫婦らしい穏やかなカップルが入っていく・・・

それならばそんなに悪くはなかろう、と
一種賭けてみるような気持ちでドアへと向いました


小道の角にあり素敵な入り口　カフェALLANS
手前のテーブル席もこのお店らしい・・・

上記こちらが今回ご紹介したいお食事とお茶の美味しい
オーガニック・パティスリーの『ALLANS』でした









【ロンドンのオーガニック・パティスリー】

ALLANS




先ず改めて“オーガニック”とは何ぞや？と思うと
「体に良さそう」・・が先ず頭に浮かびます

1回1回の食事全てが食事の前にそれを考えながら食する、
ということは難しいかもしれませんが・・
一体自分はどれほどその辺を解っているのだろう、と思ったら
実は余り考えたことがなかったのでちょっぴり調べてみました

オーガニックとは有機栽培のこと
その有機栽培とは・・・・以下になります

【 有機栽培 】

1.農薬を使わない
2.化学肥料は使わない
3.肥料を使用する場合は有機肥料のみを使用する

生産者の皆様にはとても手が込む作業になるのでしょう
以前TVで無農薬のお米を生産している農業家の方の番組を診ましたが
その努力には頭垂れるのみ・・凄い・・の一言でした・・



しかし、長年“食べること”を続けなくてはならない私達にとっては
毎度毎度気を使いながらの食生活は不精な私にとっては無理なこと・・・

まあ、毎回意識することは到底叶わないけれど
それでも“はっ”と気づいた時
もう人生の折り返し地点まで行ってしまったけれど
残りの人生がまだある（・・きっと・・・）ので
そんな時は「オーガニック」の文字を探そう！・・
という意識くらいしか持ち合わせておりません

特に旅へ出た時は当然のように
余り“体に良いもの”を意識するよりは
“美味しいもの”が最優先事項
毎回そんなお店を探してしまいます

しかし、人気！食のマーケット“Borough Market”でも
1番の目玉はこの「オーガニック食品」


　　　　　　　　


ここで扱う食品が全て・・ではないにしても
有機栽培野菜や果物、
生産者の顔が見えるチーズなどの加工品や肉類など
開かれる日の平日ランチには背広姿も珍しくなく、
休日にはまっすぐに歩けないほどの盛況ぶりです

　　　　　　　　　　


ただ単に美味しいだけではなく、
体に良いものとされているものを食べられればこんなに嬉しいことはない！
このマーケットでは周りを見渡せばそんな声が聞こえてくるが如く
長蛇の列に並ぶ人々から伝わってきます




今回偶然とは言え
このカフェの扉を開けたときに飛び込んできた
スタッフの“Hello! Madam”の一言に
先ほどまで見てももらえなかった居所ない私には
その言葉にほっとした空気に包まれたのは言うまでもありませんでした



<アラン>
ALLANS

入り口から右手にはガラスケースの中から
その日のランチサンドイッチやサラダ類の
先ずは美味しそうに並んでいる様子が目に飛び込みます


ガラスケースのサンドイッチやサラダはテイクアウェイでも
店内でもいただけます

すでにこのケースからテイクアウェイを頼んでいる
近くのOLｻﾝらしき女性も私の前にいました

このケースの次の並びにはホットミールがあり、
思わず！私の目が釘付けになってしまいました！


奥から海老のパスタ、ほっと野菜の付け合せ、左手前はチキン、右手前はラザニア
その奥にはキッシュも見えます

これを見たらもう腰を落ち着けていただくしかございません

ニコニコ顔の男性スタッフに店内でいただきたいことと、
このケースからチキンのプレート（With Sarada)とお茶を頼んで
好きなテーブルで待っててね、と言われ・・・初めて店内を見渡しました


折りしもクリスマス前とあって
白木の家具に赤いクリスマスグッズで可愛らしく飾りつけ
そんな中を先ほどのビジネスマンらしい男性陣も居れば
ご年配のご夫婦も食事を楽しんでいます

外から見るよりも広い店内は日本ならちょっと女性が好みそうな店内ですが
それでも男性一人でも新聞を読みながらお茶をいただいているし・・・
何となく寛げる雰囲気はスタッフの感じ良さや美味しいお食事になるのかもしれません

と、いうのも私に運ばれたこの一皿

本当に美味しかった！！


お茶はポットと写真のように1杯のお茶か選べます
右のランチプレートはチーズとトマトのサラダとブロッコリとパプリカの温野菜つきチキン
この国で野菜を食べようと思ったら
まだまだ私達の国での食事とは量も調理方法も違います

しかし、このような野菜の食べ方は何より普段のお食事の取り方と似ている
嬉しい限りです！

このギリシャ風サラダのチーズが美味しいし、
温野菜の味はちょっぴりガーリック風味でしっかりと野菜の味が濃く、
何よりもチキンのグリルは
ローズマリーの香味豊かにして、香ばしく・・・
久しぶりにこんなにボリュームある美味しい一皿を
ランチにいただいて良いのだろうか・・？ディナー皿だよなーというほどの一皿でした

そして、何よりも“オーガニック”という体に良さそう・・・という付加価値は
気持ちの上で何時もより満足度が急上昇します！
なんて濃密なランチだったのでしょう・・・



そのほかメニューはクロワッサンなどのペストリー（£1.20〜）や
アボガドサラダ、ツナサラダ、ギリシャ風サラダなど（£5.95〜）、
今日のお魚料理（£9.95〜）、ラザニア（£7.95）など
しっかりといただけるメニューも多々あります

そして、ホットプレートには上記のサラダを付け合せるか、どうかを選べます

デザート類もタルト類もオーガニックデザートとして
キャロットケーキやチーズケーキ、レモンケーキ、アップルタルト、洋梨タルトも美味しそう



今回はこの一皿でもう一寸もおなかに入らないくらいだったので
次はデザートまでいってみたいと思ったのでした




そして、このショップでは可愛らしくラッピングされた
オーガニックチョコやキャンディーのギフトセットや
お持ち帰りにもできるコーヒー豆も
丁寧に小分けされて並んでいました

最後スタッフの方々に
（3人しか居ないのに皆さん店内に目配り、気配りがされていて
お水はいらないかー、美味しいかー、何か用ないかーと全て極上笑顔の対応は
一人で座ってても寂しくない・・むしろ一生懸命さが伝わってくるような気持ち良さ！）
すっかり嬉しくなって“ありがとう”と言わずにはいられない、
そんな時間を持つことができました

ある意味では、H.R.ヒギンスでのことがあったから・・・
偶然の賜物はいつの時も2倍の嬉しさをもたらせてくれることを実感しました


Bond Streetから入ったDuke Streetから見た外観の様子　
外のテラス席がこれからは満杯になりそう・・


ゆっくりといただいたランチですでに陽の短い冬は
薄暗くなるのが早いのですが、
ほっこりとした気持ちで冷たい外へ出た時
振り返ってカフェを見ると店内の暖かさが目に優しく映りました





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